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□愛しくて。
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(睫毛、なっげー…)


誰も居ない職員室。授業に出席しなかった代わりに課題を出すからと呼び出されたのに、何でその呼び出した張本人は気持ち良さそうに居眠りなんかしているんだろう。


(眼鏡外してるところとか初めて見たかも)


周りを見渡しても、部活の監督として出払っているのか珍しく誰も居ない。オレも早く部活に行きたいんだけど……


(ぁ…、なんか柔らかそー)


早く起きてくれないかなぁー、なんて思いふと気が付けば、後数センチでキスでも出来てしまいそうなほど近い顔と顔。慌てて離れようとした筈が、何故かオレはそのまま吸い込まれるようにキスをしていた。

「んっ……」


(やべっ…!)


瞼を持ち上げる動作はスローモーションのようにゆっくりで、開いた乳白色の瞳は少し潤いとろんとしていた。
それから目が合い、不自然にならないよう笑顔を作って起きたかと問えば、目の前の教師はパチパチと数回瞬きをして「えぇ」と小さく笑った。

「すみません、お待たせしました。」

「あー、うん。大丈夫さ」

「そうですか?」

「うん。」

何か、スゲー気まずい。上手く話せない。たぶんそう思ってるのはオレだけなんだろうけど、なんつーかさっきのこともあるし何処を見て話せば良いのか分かんない。


(あー、でももう一回キスしたいなぁ…)


考えて、目が合った。ドキリと跳ねる心臓を無視することも出来ず、オレはそのまま全力で職員室を飛び出していた。





(やばい……)

(オレ…、アレン先生が好きだっ…!)


 
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