おお振り小説
□その瞳に何を映す?
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時々思うことがある。
自分は酷くちっぽけな、米粒よりも小さな小さな生物で。本当は誰にも認知されていない世界で生きてるんじゃないかって。
そう思ったら今まで目に鮮やかに映っていた世界が一瞬にして色を失って。白黒の世界、怖くて怖くて夜も眠れなくなった。
「栄口くん、だいじょうぶ?」
優しい三橋。そんな君に心配を掛けるなんて、俺は一体どうしたらいいんだろう。
「うん、なんでもないよ」
そう、いつものように笑って応える。
だけど…… おかしいな。三橋の表情がどんどん歪んでいく。もしかしたら、変なところで勘の鋭い三橋には、もう俺の異変になんてとっくに気付かれているのかもしれない。
その瞳に何を映す?
(嗚呼、願わくば俺を映して)
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「何処にも行かないで」と対になる、栄口視点の話
2010/11/21