おお振り小説

□君と過ごす昼休み
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教室も廊下も校庭も、どこもかしこも喧騒に包まれる昼休み。中でもこのクラスは群を抜いて賑やかだなと苦笑しながらあの子を呼んだ。

「さか、えぐちくんっ」
「ごめんね、田島達と話してた?」
「ううんっ だいじょぶ、だよ!」
「そう、ならいいんだけど」

目線の先でふわふわ揺れる綿菓子みたいな髪の毛にすっと手を伸ばして撫でてみる。すると案の定三橋はぱちくりと瞬きをして俺を見詰めた。

「栄口くん?」
「んー?…ああいや三橋の髪がふわふわしてて気持ち良さそうだったからつい、ね」
「!」
「それにせっけんのいい匂いがする」

そう言いながら鼻先を近付けたら真っ赤になった三橋が慌てたようにシャツの裾を引っ張ってきて、嗚呼そう言えばここは廊下なんだっけと思い出す。
そんなことすっかり忘れてたよ。

「三橋、」
「うぇ?」
「――――」
「!!///」

そっと耳打ちをしたらタイミング良く予鈴が鳴って。一番遠くの教室に戻るにはそろそろこの場を離れなくてはと最後に三橋の頬を撫でたら、掴まれていたシャツをもう一度強く引っ張られて名前を呼ばれた。

「どうしたの?」
「あのっ…」
「うん?」
「オレも、すき だよっ」

なんて頬を真っ赤に染めて笑う三橋をこの場で抱き締められないのは悔しいけれど、その代わりにありがとうとふわふわに跳ねる髪を撫でて微笑んだ。







        





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兎に角いちゃいちゃさせたかったんです


(2011/6/8)
 

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