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□寒いのはお好き?
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「今日 は、さむいねっ」

ゆったりゆったりと帰路を歩く途中、そう隣で楽しそうに笑う三橋に、俺も頬の力を弛めて振り返った。

「三橋は寒いの好き?」
「うぉっ す、すき!」

そのキラキラとした瞳にくすりと笑みが零れる。きっと今三橋の脳内にはたくさんの食いもんが思い浮かんでいるんだろうな。

(よだれ出てるし、)

かわいい、なんてのは田島や水谷じゃないからこんな大通りでは言えないけど。そっと空いていた三橋の右手を握った。

「栄口、くん?」
「俺も…寒いの好きだな、」
「うぇ?」

なんて綺麗な飴色を見詰めて言ったら、案の定こてりと首を傾げられて。まるで小さな子どものようなその仕草に自然と口角が上がる。

「だって、三橋と手が繋げるから」

そう意地悪く微笑んだら思っていた通りに三橋の赤みがかった頬が更に朱を帯びて。しかし予想に反して呟かれた甘い言葉に、俺の寒く悴んでいた左手も忽ちに熱を持った。





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2010/12/17
(移動→2011/4/30)
 

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