この箱庭の中で 育まれる


への執着









box〜箱〜









僕らはこの狭く固定された世界で

必死に生きている


そこには無数に延びた 未来(さき)の見えないレールが敷かれていて

そこを考え無しに只ひたすら歩いている者も

無数に存在する




しかし それでこの世界に存在を証すことが

果たして出来るのだろうか









そこで 僕らは

「抵抗」という抗(あらが)いを覚え

自らが此処に在ることを主張する




そうすることで

この狭く広がった空間に

何かを齎(もたら)すことが出来ると信じて



僕らは 「抵抗」する








それは レールの上を文句一つ洩らさず歩き続ける者にとっては

とても拙い行動に映るだろう








しかし

敷かれたレールは

一体どこに辿り着くのか



果たして終着点は 存在するのか







誰も知ることの無い未来を背負い

最後まで一本の道を突き進むのは

並大抵の精神では 到底成し遂げることは出来ない







ならば

「抵抗」という名の自己主張を利用し

この世に存在意義を掲げてみてはどうだろうか





時にはレールを外れて 道草を食い

時にはレールを見失わぬよう 後ろを振り返って





レールが恋しいなら

見失わなければいい






レールを忌み嫌うのなら

そんなものの存在を いっそ見失うくらい

無我夢中で走り出してしまえばいい






いつか何かにぶつかっても

他の存在に己の信じたを妨げられても






この生に埋め尽された空間の中から



外の世界

つまりを望んでいるとしても



誰にも箱を壊すことなんて 出来やしないのだから













それはこの箱庭の中で育まれ 膨らんでいく


への執着 故







Fin.

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