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□最果てに見える君
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※レイブン死ネタ
空が遠い。今までだって十分遠かったのに横になってるからかね、今日はいつもより遠い気がする。下ろした手が背中に感じる地だまりにぽちゃんと沈む。
本日は晴天なり。なのになんでこんな目に遭わなきゃならないんだ。
上手く頭が回らない。さっきまで何してたんだっけ。戦ってたんだよね。
…誰とだっけ。
もういいや、だるい。
考えるのを投げ出して思う。
(…そういや青年は?青年はどこにいる?)
周りを見回すのも辛い。首の骨が上手く機能を果たしていない。
自分の髪がパサリと顔にかかった。払いたいのに手が動かない。
(嗚呼、俺様ってば死ぬのね。青年にも会えずに)
死ぬならこんな青々とした空見せないでほしかった。もっとどんよりとした曇り空でいい。何なら大雨でもいい。
なんでもいいから青空なんか見せないで。
「せい…ね、ん」
声が出なくて喋れない。喉が裂けるみたいな痛みを感じる。こんなみっともない姿誰にも見られたくないな。
(…助けてもらえるなら嬢ちゃんに見られてもいいかな)
いや、嬢ちゃんが来るなら青年も来るか。
何時からだろう。最初に青年のことを考えるようになったのは。
何時からだろう。死にたくないと思うようになったのは。
俺はあの日一度死んだんだ。生かされてるだけなんだ。なのになんで、どうして。
(ああ、そうか。やっと分かったよ)
瞼が重い。閉じたくないのに勝手に閉じていく。
走馬灯って実際に見るのね。青年ばかり出てくるよ。
「ごめん。も、無理…」
青年は生きてよ。俺様がこんなとこで死んでやるんだから、生きないと怒るよ。
「先に行って待って、るよ…」
だから、
最果てに見える君
(ばいばい、ユーリ)
死に際に名前を呼ぶ余裕のないレイブンが書きたかった。
好きだと死に際に気付いちゃう可哀想な感じ。