捧げ物
□海に行こう!!
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「ほんまなんやねん…。」
はぁとため息をつきたくなる。
俺の周りでは、よぉ分からん会話が白熱して繰り広げている。
「俺の白石やっ!!」
「ちゃいますって、謙也さん。俺の部長ですわ。」
「皆、何言うとると!?俺の蔵たい!!」
聞こえてくる対話にうざくなってきた俺は、皆に気づかれないようにその場を立ち去った。
「ほんまありえへん…。」
一人海辺を歩いてみる。
辺りはもぅ暗くなっており、もぅ少ししたら暗闇に染まるだろう。
「さすがに暗いなぁ…。」
皆には絶対に見せないが、俺は暗いのが大の苦手なのだ。
「あー…やっぱ行かなけりゃよかったわ…。」
さっきまで空は薄暗かったのに、もぅ暗くなっていた。
俺はさすがに怖くなり、その場にしゃがみこみ、うずくまった。
「千歳ぇ…」
俺はひたすら呼んだ。
愛しい彼の名前を。
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