LONG NOBEL

□出逢い
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俺が先生と出逢ったのは高一、七月の昼休み。

未だクラスにあまり馴染めていなかったし、クラスの離れた晋助や土方さん達は新しい友達とお昼を共にしていることもあってで、俺はよく屋上で昼休みを一人過ごしていた。

「あれ君、新入生?」

生徒でも教師でもなさそうな低くてだるそうな声が後ろから聞こえた。
返事より先に振り向くと太陽にギラギラ照らされて目立つ銀髪、それと同じような銀フレームの眼鏡、そして炎天下の中よく着ていられるなと感心するばかりの白衣。
口には煙草、左手にいちご牛乳を持って右手は白衣のポケットの中だ。

「はい、1-Fの山崎です」
「ふーん…下の名前は?」
「さがるです。引退の退で、退」

やはり下の名前を教えるのは少し躊躇った。この名前を教えて不思議がらなかった人は居なかったからだ。悪ければ「奇妙な名前」だと罵られる事も少なくなかった。
しかしその先生の態度は違った。

「へー…さがる、ねぇ。いい名前じゃん」
「あのぅ、先生は…」
「俺?あー、一年は担当してなかったっけなぁ…俺は坂田銀八。金●先生の要領で銀八先生〜って呼んでくれりゃーいいから」
「分かりました。宜しくお願いします、銀八先生」
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