恋する王子共

□恋する王子共2
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「うわー俺まだ高2になった感じしないんだけど」

「ってかクラス変わった感じすらしないよな」

「確かに」

少しざわつく教室に俺、ナツ、那和の順で声がする。

時が経つのは早いもので俺達は高校2年生になった。
だけどナツや那和とはクラスがまた一緒だし他の同級生も1年生の時とあんまり変わってない気がするので進級した実感が全然ない。

「まあ今年もよろしくな、二人共」

「「もちろん!」」

ナツと那和の声がかぶったところでチャイムが鳴り、自分の席へ戻る。
今年の俺の出席番号は40人中40番。つまり一番後ろの窓側だ。

席まで変わってないのか、と苦笑したと同時に前側のドアが開いた。

「はよーっす。…んだよー…去年と変わらん面子でつまんねぇ」

『和泉さんそれはひどくね?』
『俺らは和泉さんのこと好きだぜー!』

「お前に言われても嬉しくねぇよ。可愛くなって出直しなさい」

教室が笑いに包まれる。
クラスの連中が変わってないと思えば担任もそうで、その人はだるそうに教卓の前に向かった。
入学して一年も経てば流石に先生とも打ち解けてきて、皆は和泉先生のことを『和泉さん』と呼んでいる。

「よく聞けー。今から編入生を紹介します。じゃ、入って来い」

は?と思ったのも束の間、教室のドアが開き男の子が入ってきた。
ミルクティー色の髪に同色の瞳。まるで王子かと思うほどの容姿をした編入生は教卓の横に立ち、一礼した後口を開く。

「名取修(なとりしゅう)と言います。親の仕事の都合でこの学園に編入してきました。宜しくお願いします」

綺麗に微笑んだ『名取修』はクラスの雰囲気を一気に和やかにした。
つうか俺が編入した時は和泉さんと一緒に入ったのに今回は後から来させたとか差別ですか?
やっぱ世の中顔かコノヤロー。

「名取は出席番号真ん中辺だけど席は後ろな。憐野、手ぇ挙げろ」

和泉さんに言われて俺は手を挙げる。それを見て名取は此方に歩いてきた。

「よろしくお願いします。えと…憐野君。僕のことは修でいいですから」

「ん、よろしくな修。俺の下の名前紘希だから修もそう呼んでよ。
あと敬語使わなくていいぞ?」

「いえ、敬語は癖なんで気にしないで下さい。改めてよろしくお願いしますね紘希」

そう言って修はまた笑う。
本当に綺麗だよなー…。

俺と修が話していたら和泉さんが声をあげた。

「お前ら。いきなりだが始業式まで後5分しかない。
ってことで…走るぞ」

真っ先に出ていった和泉さんを見て俺達は慌ただしく体育館に走っていった。



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