恋する王子共

□恋する王子共2
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始業式には無事間に合い、俺達は式に遅れずにすんだ。
開始直前に息切れした生徒が集団で来て皆びっくりしてたけどね…。

「あー眠い…」

「紘希大丈夫ですか?」

「立ったまま寝るんじゃねぇぞ憐野…」

俺の後ろにいる修と前にいる吉永(よしなが)が話しかけてくる。
列は番号順なのに修が俺の後ろにいるのは編入生だかららしいけど出席番号決まってるんだよな…?
そう聞いたら修は
「真ん中の辺ってだけしか知らないんです」
と言った。

…うちの担任無責任すぎやしませんか?修も苦労してんなぁ…。
ってかヤバいってこれ。吉永が言ったとおり今なら立ったまま寝れるよ?

「…憐野?」

「…おやすみ…」

吉永を無視して俺がマジで寝ようとした時、体育館に大歓声が響いた。

『キャァァァッ!!』

ビクッ

「な、何ですか?この歓声…」

修が驚いている原因の歓声のせいで目が冴えてしまい、俺は不機嫌になる。
それを見て溜め息を吐きながら吉永は修に言った。

「生徒会長の挨拶だよ…この学園じゃ歓声なんて日常茶飯事だから名取も今の内に慣れといた方がいいぞ」

「はい…」

「で、憐野は何時までふてくされてんだ」

「だってさー…俺の睡眠…」

「部屋で寝ろ」

畜生、俺の睡眠を妨害した罪はでかいぞ!

一度会長様とやらの顔を拝んでやろうと思い、壇上に視線を上げた俺は呆然とした。

「静かにして下さい」

一瞬でしんと静まりかえった体育館に心地好い声が響く。

「今年度生徒会長を勤めることになりました、曰ノ宮悠緋です。まずは進級おめでとうございます…」

ゆ、悠緋が生徒会長?そんなこと一言も言ってなかったぞ…。
でも役員だったんだから妥当っちゃ妥当なんだろうけど…教えてくれたっていいのに。
あとで文句言ってやる。

「…それでは一年間を有意義に過ごして下さい。終わります」

悠緋の挨拶を最後に始業式は終わった。



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