小説L

□bsr連載
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「お、見えてきたよ。」

がさり。
背の高い草を手で掻き分け、私達はとうとう尾張のまちへと足を踏み入れた。
後ろから、眼下に広がるまちなみを眺める藍と翠が、私の顔を覗き込んで口を開く。

「ここでいったい何をするの?」
「お宿に泊まって休養。」
「何を休むの?」
「・・・山賊狩りをした疲れとか、あとは卯之助君の体を休めたりとか。」
「ふーん。」

なんだか腑に落ちないという顔をした藍に、私は苦笑をもらして心の中だけで同意した。

確かに、藍と翠を仲間に向かえいれてから山賊に会うことは無くなった。
2人の話によれば、もともと山賊狩りはいたけど、私のような山賊狩り、つまり、強い山賊狩りがいたわけじゃなく、どんどん増えていく犠牲者に恐れた多くの山賊たちが解散し始めているそうだ。

・・・え、うそでしょ。

「まあとりあえず、今日泊まる宿を探しましょ。」
「おー!」
「「張り切ってるね、卯之助。」」
「だって、まちに来たときは大体お買い物とかするんだよ!」
「「・・・お買い物?」」

私の言葉に、ぴんっと片手を挙げた卯之助君に、藍と翠は声を揃えてそう呟く。
卯之助君が、嬉々とした表情で2人にそう答えると、2人の表情は心なしかぱっと明るくなった。
あ、もしかして、行きたいのかな?

「どっか行きたいとことかある?」
「甘味屋!」
「卯之助君じゃなくて。」
「「・・・甘味屋。」」
「え、甘味屋でいいの?」
「ほらぁ!」
「うるさい。」

でしゃばる卯之助君を黙らせて、改めて二人に尋ねたけれど、二人の口からそっと漏れたのは卯之助君の口から出てきたものと同じで。
同だ参ったかという顔で私を見てくる卯之助君を軽くあしらい、私は2人の頭を撫でた。

「よしよし。じゃあ皆でお団子とか食べようね。」
「大福がいい。」
「私あんみつ。」
「・・・なんでもいいけど皆で甘味食べようね。うん。」

あのさ。格好付けさせてくれてもいいんじゃない?
そこはにっこり笑って「うん!」って声を揃えて私に抱きついてくるところだよね。
心の中ですすり泣いていれば、左腕にくっついていたムニルさんが、ぺしりと後頭部を尻尾で引っ叩いて、「様見ろロリコン。」とか言いやがった。

「だれがロリコンじゃああああああああ!」
「「「ロリコンって何?」」」
「ロリータコンプレックスの略称だ。」
「ろり・・・なにそれ?」
「それはだな・・・」
「やめろおおお!純粋な子供を汚すなこの自己中スネークゥゥゥゥ!」

あれ?私いつからツッコミになったの?
って言うかマジでこれ体力っていうか精神力消耗するんですけど。
マジで疲れるんですけど。












ロリコン症候群

(だからロリコンじゃねえよ!)

――――――
で、こいつはロリコンですかね?
ロリコンじゃないですかね?

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