小説L
□bsr連載番外
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トリップ夢でよくある展開のなかで、この連載ではこういうの使わないだろうなというのをやってみる。
※キャラぶれ、ネタばれ等が含まれる場合がございますのでご了承の上ご覧くださいませ!
A恋愛小説でありがちな集団リンチをやってみる
女の子に囲まれて体育館裏に呼び出しとかマジパネェ。
告白されちゃうんですかそうなんですか?あ、違う?そうですか。残念です。
とても告白するとは思えない形相で私を見下ろす背の高い女の子達をぐるりと見渡して、私は心のうちでため息を付いた。
「あんた、生意気なのよ。」
「ちょっと力があるからってでしゃばっちゃって。」
「死んでくれない?」
「マジ目障り。」
「・・・・。」
いや死ねないんで無理です。
なんて、私は言いかけたけど口をつぐむ。
こういうのは言わしておいたほうがいいんだよ。
面倒くさいし女って怒らせると怖いしね。
あ、私も女だった。
「そんなに目立ちたいわけ?マジうざいんですけど。」
「学校くんなよ。あんたなんか誰も歓迎してないっつーの。」
「私達の前から消えてくれない?」
「消えろ!」「消えろ!」
「・・・。」
え、うざ。
うざいのはあんたらだっての。
本当、目立ちたいとか歓迎してないとか、別に私は目立ちたくてこんな風になったわけじゃないし、歓迎してもらいたいわけじゃないし。
それに、自分達の前から消えろって、あんた等が私を呼び出したんだろうに。
ふつふつと沸き起こる怒りをどうにか理性で押さえつけ、私はじっと言葉を聴いていた。
が。
「ちょっと、聞いてんの!?」
ばしん。
頬が一瞬熱くなる。
痛みは勿論ない。
耳が、びびびとしびれて、頬がしびれて、すぐに止んだ。
馬鹿な女達だよね。
手を出さなきゃ痛い目みなかったものを。
なんか今中二病っぽい。
けどどうでもいいや。
「きゃあっ!いっ、痛い!」
一人の女のこの手首を掴み上げ、ぎりぎりと握る。
悲鳴を上げる女の子の顔を見つつ、私はちらりと周りの子に目をやった。
驚いた表情。なんて間抜けなんだろう。
あ、なんか今、嫌われ小説の主人公みたいじゃない?私凄い。
「や、いや、いたい、痛いよ、やめて・・・!」
「ちょ、ちょっと、なにしてんの、折れちゃうわよ!」
「おい!離せってば!離せ!」
「なんで?」
「っひ、!」
うわ。なんかひっ!て言われちゃった。
そんな悲鳴に少し傷つきつつ、それでも手は離さない。
逆に力を強めれば、めきりと言う音と共に、彼女の口から大きな悲鳴が聞こえてきて、私は驚いた。
「おわっ、折れちゃったね。ごめんごめん。」
「ご、めん、て、あんた、なんてことを・・・!」
「いやあっ!いたい!いたいよお!」
「きゃ・・・きゃあああ!」
絶望的な瞳が私に向けられる。
女の子達が、一斉に逃げようとするけど、私は地面を思い切り蹴って、逃げる女の子達の頭上をぴょーんと飛び越えて、女の子達の前にすたんと下りる。
また悲鳴が上がった。ちょ、そんなに怖がらないでよ失礼だなあ。
「ごめんって。別に折るつもりはなかったんだよね。」
「ゆ、ゆるして、ごめんなさい・・・っ!」
「いや許すけどさあ。ちょっと考えてみてくれない?」
「・・・え・・・?」
半泣きでへたり込む女の子達を、今度は私が見下ろす。
不思議そうな顔をする女の子達に、私はにっこり笑って言ってやった。
「才能がないあんた等がさ、才能のある私に向かって吼えたって、痛くも痒くもないから。」
「・・ッ!」
「それにさぁ。よく言うじゃん?弱い犬ほどよく吼えるって。五月蝿いんだよね。むしろうざいのはあんた等だよねぇ。私に嫉妬してる暇があるなら、得意なことでも作れば?あ、こうして僻むことが得意なの?くだらないよねえ。そっちこそ、生きてる価値、ないよねえ。」
「ひ、ご、ごめん!ごめんなさいぃ・・・!」
「殺しちゃっても、いいかなぁ?」
「いっ」
いやあああああぁあぁあ!
おー。速い速い。
逃げ足も誇れるんじゃない?あははは。
ため息をつきながら、私は笑った。
(次の日から、女の子達におびえられました。)
(女の子好きなのに!)
―――――――
こいつ怖え。