小説N

□企画2
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「ひゃははは独眼竜とかマジかっこいーよなー」
「政宗殿ぉー、今のおぬしのお姿でその格好良さが台無しにござるよー」

お館様お気に入りの武将殺しのお酒を、ぜひ政宗殿や片倉殿と楽しもうと、私と佐助は奥州に遊びに来ていた。
あの上杉謙信公さえ唸らせた恐ろしいお酒だけれど、強いばかりでなくしっかり美味しいのでお酒が進む進む。
べろんべろんに酔っ払ったアルコール漬けのトカゲを横目に、私は気分がよくて緩んだままの頬をするりとなでた。
火照った頬はまだ寒い風に心地よく、ついうとうとしてしまうけれど、ここで寝てしまっては余興も余興。お酒の席はまだこれからだ。
さてもう一杯、と手に持った杯を傾け、喉が熱くなる感覚を味わえば、ふと傍らの佐助はすくっと立ち上がった。


「あーやめだやめだ!」
「なんだよ佐助、どしたの?」
「熱いんだよね!熱いんだよ俺様!」

だからどうした。
熱い熱いと騒ぐ佐助を見上げて眉をしかめて入れば、へろへろ笑っていた政宗殿とぐすぐす泣いていた片倉殿が酒瓶を離さずに声を上げた。

「熱いなら脱げ!」
「そうだ!脱げ脱げ!」
「おう脱ぐよ!俺様脱いじゃうよ!」
「はっ!?」

二人の声にはやし立てられ、ひゅーひゅーと口笛が吹かれる中に佐助がぽいっと額当てを捨てる。
突然変わったその場の空気に、私はおろおろしながらその様子を見ていたけれど、ぽんちょを落とし、がちゃりとクナイのこすれる音が聞こえたことで正気を取り戻した。

「ちょ、ちょちょちょちょっと待って!」
「どりゃーアハハハ」
「あはははじゃないから!わ、わ、脱ぐなってば!」

佐助の解体ショー(?)をとめる私に、周囲のバカどもはぶーぶー文句を言い始める。
てめ、おま、佐助が脱ぐのを黙ってみてられますか!
なんだよケチーと野次を飛ばす政宗殿の顔面に自分の杯で殴る。顔に貼り付けたままぶっ倒れたのを見届けてから、私は佐助の手をつかんだ。

「政宗様ー!!!うおーん俺がしっかりしてねぇばっかりにぃいいい!」

「佐助!正気に戻れ!何もお前がお色気担当になることはない!伊達軍には弄られ役という名の成実さんがいるんだから!」
「へー?」
「ちょ、俺!?俺弄られ役だったの!?それにしてはこの連載でまだほとんど出てなかったけど!!」

なんか騒いでる成実さんは放置プレイ。
きょとんとほうける佐助にねっ!?と念を押せば、にへらー、とふやけたような笑顔を浮かべ、次の瞬間に爆弾発言をした。

「じゃー旦那が脱ごうか!」
「ブッ!!!!!」
「お酒の席で脱がなきゃつまんないよー」
「お酒の席って脱ぐモンなの!?決定事項なの!?」
「さあぬーげ、ぬーげ、ぬーげ!」
「コールやめなさい!」

ぱっちんぱっちんと手拍子とともに上半身裸の佐助が伊達軍の酔っ払いと一緒にはやしたて、私は引きつる頬でそれを前に後ずさる。
すると、いつの間にか復活したらしい政宗殿と片倉殿が、成実さんと一緒に腕を組み組み、

「やっぱこういうのは女が脱がないとな。」
「そうだな、女が脱ぐべきだよ。」
「男の裸は見ても面白くありませんからな。」

とか言い出した。お前らそろって死ね。
おつまみの乗っていた皿をそれぞれの顔にぶん投げてつぶし、私は煩い外野に脱がないぞと一言。
すると、へにゃへにゃ笑っていた佐助がふとにんまりと何かをたくらんだような笑みを浮かべる。
嫌な予感満載のその顔に、私は両手を挙げて「オワタ!」って叫びたくなった。今から富士山の樹海に逝きたい。

「いやだなぁ旦那ってば…まさかこの場を盛り下げる気ぃ?」
「いやいやいやいやそんなこといわれても!!!」
「あ、もしかしてアレ?俺様の前だけで脱ぎたいとかそういうの?いいねーいいねー、旦那ってばデレ期?俺様そういうの大好き!」
「いや違うから!っていうか外野もヒューヒュー言うのやめてってば!」

にまにま笑う佐助がぐいっと近寄ってきて、ぎゅっと肩を縮めて固まる私の額と額を合わせる。
こつり、と優しくぶつかった額に降りる佐助の髪がくすぐったい上に、アルコールの混ざった熱い息が頬をなでた。
目の前を見れば佐助の顔が。下を見れば、さきほど脱いだままの鍛え抜かれた佐助の上半身が。
視線をどこにやったらいいかと左右をきょろきょろみる私の頬を、佐助の大きな手が包んで、「旦那、」とかすれた佐助の声が…


「っは、破廉恥いいいいい!」
「ぐっはぁ!」


思わず、感極まって(?)体が動いてしまい、佐助が気絶してしまったけれど私の所為ではないはず。

…ごめんね佐助。









猫がおこる時

(ぐひひ…れっつぱーりー…)

(筆頭が寝言言ってるぜ!)
(さすが筆頭!寝言も南蛮語だ!)

(もーやだもーやだお家に帰るううう!)
(…。)[チーン]

――――――
オチとかなにそれ美味しいの?

伊達軍ファンの方すみません(^ω^)

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