小説P

□エーテル
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時計も何もない物置部屋で、学校にも行けず本も読めずただただぼーっと毛布の上に座り込んでいる私は、さっきまで目を通していた参考書を足元に放ってごろりと横になった。

窓がないから、昼間にもかかわらず薄暗いその部屋に、小さなランプをともして長時間本を読むのは目が悪くなってしまうからね。
実際少し悪くなって、ペチュニアさんのお下がりをいただいているけど、ダドリーに折られたり曲げられたりしてぐにゃぐにゃになっているからあまり使いたくない。

ぱちぱちと、小さな瞬きをする。
薄く開いた瞳は、することがないためにだんだんと重くなり始める。
退屈になると眠くなるよね。教師の授業とか、説教とか、つまらない本とか。

もぞもぞと毛布をかぶり、体を丸めて目を瞑る。
頬の腫れを気にしながら、私はすうと眠りについた。








夢、をみた。

私と、金髪の男の子と、金髪の女の子が笑ってる夢。
私を挟んで手をつないで、三人で並んで湖のほとりを歩く夢。
とっても楽しくて、とっても幸せな夢。・・・夢。

男の子は、なんだか色が白くてつり目気味。
女の子は・・・なんだろう、どうしてか、どこかで見たことがある気がする。
金髪だから、外国人のはずなのに、なぜだか顔立ちがアジア系に見えてしまう。

――##NAME1##ちゃんっ

笑顔で「私」の名前を呼ぶその子。
背の高い女の子の顔を見上げて、夢の中の私は幸せそうに頬を緩めた。

誰だろう。この子。

――おい##NAME1##っ

男の子が、ぐいっと手を引いて「私」の名を呼ぶ。
やっぱり笑顔で、私は男の子の顔を見上げた。

そういえば、この二人はどうして「私」の名前を知っているんだろう。
どうして、名前を呼ばれてこんなに幸せになるんだろう。

とっても暖かくて、幸せな気分になったのは久しぶりだ。
この夢がずっと続けば良いのに。








甘ったるくていいのでしょう

(目を覚ましても、私は久しぶりにいい気分だった)

――――――
オリジナルキャラクターの本格的登場は学校からです。



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