小説P

□エーテル
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家に帰ったら、バーノンおじさんが仁王立ちで待っていた。仕事、早く終わらせてきたのか、今日は早く終わったのか。
どちらでもいいけれど、この様子ではどうやら、学校のことはバーノンさんに知らされているようだ。つぐづぐ私は哀れだ。まあ、我慢できずにぶちまけてしまった私のせいかもしれないけれど。

「何か言うことはあるか?ハリー」
「ありません」
「それは学校のことは認めるということだな
?」
「認める?主語と述語をはっきりさせてくれませんか?私は出来損ない見たいですから、よくわからないんです。」

まだ私の頭には血が上っているみたいだ。
言わなきゃ良いのに、反抗的な態度でそう淡々と述べれば、バーノンさんは丸い顔を真っ赤に染めて、ばっと手のひらを振り上げた。

ばちん。

いい音がした。鼓膜が破けてしまうんじゃないかって言うくらいに。
その衝撃を殺せず、派手にふっとんで壁にぶつかる私は、またしても殴られてしまった頬に手を当てる。
痛い。熱い。涙がにじむ。泣き喚いてしまいたい。けれど、詰まるのどをこらえて、こいつに言って置きたいことがあった。

「私が出来損ないだってこと、否定しないんですね」
「お前は出来損ないだろう?欠陥品もいいとこだ、フン!」
「その出来損ないにも劣る脳みその持ち主のダドリーは、もしかしたら役に立たないブタかもしれないわね。」
「・・・っ、部屋に戻れ!出てくるな!」
「部屋ァ?私には部屋なんてないわ。あれを部屋だって言うなら、あんたの脳みそはそうとう出来上がっちゃってるわね!」
「こいつ・・・ッ!」

そろそろ殺されそうだ。
慌てて立ち上がり、捕まえるために伸ばしてきたバーノンの腕をくぐって階段下の物置に飛び込む。
ばたんと扉を閉めれば、追いかけて捕まえる気まではないのか、扉の前で散々毒を吐いてどこかにいった。



ああ。やってしまった。

あとあとになって頭を抱える。
すっきりはした。すがすがしかった。
正直言ってまだ言い足りないけれど、それでも、すっとした。


けれど、これからのことを考えると不安で仕方がない。
私のご飯はどうするんだ。学校は。生活は。
知識はあっても所詮私はただのガキ。
魔法が使えても何でも、生活するために必要なお金も、年齢も、なにもないただの役立たず。

とりあえず、今は疲れてしまった。
頬も痛い。
頭を冷やして、後で考えよう。


幸い興奮しているおかげでおなかは空かないので、私はにじむ涙と痛む頬には無視を決めて、毛布にもぐりこんだ。










血液が沸騰する


――――――


ふ っ き れ た \(^o^)/
らしいですよ。



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