BL 短編

□離れて行かないで…
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ミーはベルセンパイとマーモンって人が抱き合っているのを見て、辛くなってその場から逃げた。
そして今、自室のベッドに身体を投げて瞳から溢れる涙をそのまま流している。


――コンコンッ


突然のノック音。

何の呼び掛けも無しにキィッと扉が開く。

「カエルー?」

入ってきたのはベルセンパイだ。
ミーは返事するのも涙のせいで上手く出来なくて、ベルセンパイに視線だけ飛ばした。

「……泣いてんの?」
「……ぅるさい」

素直になれなくて憎まれ口を叩く。
ベルセンパイはミーのベッドに近付いて来て、床に座ってミーと視線を同じになるようにした。

「……何の用ですか?ミー、眠たいんですけど……」

もうミーにはいつもの語尾を伸ばす余裕もなくて……。
今更になって『あぁ、恋愛ってこんなにも辛くて、苦しいものなんだ…』と、思った。最初の頃は楽しくて、幸せで……。

「お前がいきなり走って行くからだろ?」
「……それは、だって……」
「要するに、オレがマーモンを抱き締めたのが嫌だったんだろ?」
「………………悪いですか?」
「いや、別に……ってか、そのくらいで妬くとか、フラン可愛ー♪」
「っ、黙れ堕王子。あんたに可愛いとか言われたくない」
「あ"ぁー?……っ!」

ミーはベルセンパイの肩を掴み、床に押し倒した。

「センパイは此処からの眺めからだったら凄く可愛いですよー」
「あっ、ふざけんな!てめっ…」

フランはベルの胸に顔を埋めた。ベルは予想外のフランの行動に戸惑いつつ、フランの背中に腕を回した。

「ベルセンパイ……」
「何?」
「ミーのこと……好きですかー?」

フランが顔を上げ、ベルを見つめた。瞳が潤んでいる。不安そうな顔。
ベルはフランの頭をグイッと自分の胸に押し付けた。

「いた……っ」
「ばーか。何不安そうな顔してんの?オレお前と約束したよな?傍から絶対離れないって……」
「ベルセンパイ……」
「好きに決まってんだろ。疑うなよな」
「!!……ミーもセンパイ大好きです!愛してますー」

そう言って、フランはベルの唇と重ねた。

それから甘い時間が続く……。
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