BL 短編

□存在…
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ミーはたった今任務から帰って来て、ボスに無事に終わりましたーと報告をした。眠い目を擦りながら、今回の任務の過程を説明する。ボスは報告書の束をバサッと任務完了用のボックスの中に放り投げた。

「…ご苦労」
「はーい、ミー眠いんでもう行きますねー」

フランは一礼して、XANXUSの部屋を後にした。


フランは自分の部屋までの廊下を伸びをしながら、歩いていく。

――うぁぁ…疲れたー。暗殺者なんて楽じゃ無いですねー。まぁ、自分がこの道選んだのだが、時として面倒だと思うことが多々ある。

フランは自室の扉の前で軽くため息を吐き、ノブに手をかける。

「ただいまー…」

誰も居ない部屋に声をかける。『ただいま』と言うのは、随分前からの癖でヴァリアーに入隊してからも使っている。

フランは身体中クタクタで、お気に入りのふかふかのベッドにダイブしようとした。




「うげ…っ」


お気に入りのベッドは既に占領されていた。スースーと規則正しい寝息が聞こえる。そこに眠っているのは、自称王子こと墮王子。
こんニャロ。
人のベッドに堂々と寝てんじゃねーよ。ホントにこの墮王子はムカつく。何故、人のベッドに寝てんだか。…そもそも…何故部屋ん中いんだよ。ミー、ちゃんと出る前に鍵かけた筈なのにー…。


「…ん…」

フランはビクッと肩を震わせ、ベルに視線を飛ばす。
――寝言か?

「………ン?」
「……え?」

よく聞こえなかった為、フランは自分の耳をベルの口元まで近づける。

「っ!」

ベルから漏れた言葉が嫌で直ぐ様フランは、ベルから離れた。ベルから発した言葉は…
『マーモン』
…前任者の名前だった。


――分かっている、分かっていた。ベルセンパイがまだ“マーモン"を引きずっていること。ミーなんて前任者の代わりだとしか見てないこと…。だから、こんなカエルの被り物なんて被せる。
ベルセンパイの中にミーの存在なんてあるんですか?
………いや、無いですね。
貴方の瞳にミーなんて映ってない。何時までも女々しく強制的に、これを被せる間は…代わりでしかない。


でも、信じて良いですか?
何時か“マーモンの代わり"としてじゃなく、“フラン"として見てくれると…。


フランは一滴涙をこぼした。ベッドは諦めてソファーで眠る事にした。






(ごめんな、フラン)(何時か…想いを言うから…)(それまで待ってろな)
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