BL 短編

□チョイス
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「ロイヤルストレートフラッシュ」

只今、ミーとボスでポーカー勝負している。
ミーが勝ったら、ボスの所有物を一つ貰う。逆にボスが勝ったら、ミーが一週間ボスの雑用係となっている。

―けど、この勝負はミーの勝ちだ。

「ミーの勝ちです。
…ボスの所有物の…ベルセンパイを下さい」

ボスは眉をピクッとさせたが…軽く息を吐いて、この勝負を見守っていたベルセンパイに視線を飛ばす。

「…ベル」

呼ばれたベルはビクッとする。
XANXUSは目で「行け」と合図する。
ベルはフランを見やり、そしてまたXANXUSに視線を戻すと、こくんと頷いた。








「―しっかし、お前何気にポーカー強いとか、ナマイキー」

フランはベルに背を向けた状態。
舌をペロッと出し、「イカサマしてますからねー」と、心の内で呟く。

「…ボスが負ける…とか、ボスらしくねーな…」

ボソッと言うベル。
無論、フランには聞こえている。

「ベルセンパーイ、何で拒否らなかったんですかー?」

「ん?別にー?
面白そうだと思ったから」

「ボスの所有物、ですよ?」

「オレ、ボスのモンになった覚えねーし」

ししっと笑うベル。

―センパイがそうでも、ボスの方はそうじゃないと思いますよー?
ミーと一緒に部屋を出た時…ボス、しっかりミーに殺気向けてましたからねー。

「それよりもカエル。
何でオレなんだよ?
ボスの所有物なんて、高価なモン沢山あんぜ?」

「…………」


どんな高価なモノよりも、ミーはベルセンパイが欲しかったんです。
だって…高価なモノでも、世界で一つだけって訳じゃないでしょ?
…でも、ベルセンパイは世界で一人しかいない。同じセンパイが二人や三人、いる訳じゃないんですよー?だったら、高価なのは…世界で一人しかいない“ベルセンパイ"でしょ?


「んー…お前が考えてること、分かんねー」

「分かんなくて良いですよー」

「可愛くねーの」

「結構」

すると、ベルから一本のナイフがフラン目掛けて飛んで来た。
それを難なく避けるフラン。

「っ…ムカつく」

ベルは数十本のナイフを構え、フランに投げる。
これも、簡単に避けられる。

「超ナマ…っ」

“ナマイキ"と言いかけた所で、フランに口を塞がれる。

「!?…っ」

唇を離すと、どちらのモノか分からない銀糸がプツッと切れて、ベルの顎に垂れる。

「な、何すんだよっ、カエル!」

「センパイ、こうでもしないと止めないでしょー?」

「だったら、手ー防げばいーだろがっ!」

「んー…今のはミーの好意なんでー」

「…好意?」

フランはニヤッと笑う。
滅多に見せない笑みに、ベルは背筋がゾクッとする。

「そう…つまり、ミーはベルセンパイが好きってこと」

「!」

ベルはボンッと顔を赤く染める。
フランは「おっ、珍しい」と、心の内で呟く。

「……す、好きだから…オレを選んだわけ…?」

「当たりでーす。
じゃなきゃ、ボスに勝負挑みません」

「…王子もフラン、好き…」

「っ!」

滅多に名前呼ばないし…こんなに素直になることもないのに…。

そんなベルが可愛くて、フランはベルをぎゅうっと抱き締めた。

「センパーイ、大好きでーす!」

ベルは返事の代わりにフランを抱き締め返した。






→オマケ&あとがき
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