BL 短編

□オレのもの
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アイツ―…フラン、ムカつく。
王子の言ったことなんか一切聞かないし。
ムカつくし…フランのことなんてどーでもいいのに。
フランがスクアーロや他の誰かと話していると、胸がモヤモヤしてイライラする。



「おいっ、カエル」

「何ですかー堕王子」

「…マジムカつくわ、お前」

「そりゃどうもー。
ついでに言うと、ミーもセンパイのことムカつきますー」


…面合わせれば下らない喧嘩ばっか。
…あれ?王子っていつもクールじゃなかったっけ?
何時からこんな喧嘩っ早くなった?

―…あぁ、コイツが原因か。
四六時中、王子をイライラさせて…たまに変な気持ちを与える。


「マジ死んでくれりゃいーのに。死にたくなったら、何時でも言えよ。真っ先に王子が殺してやるよ」

「遠慮しまーす。
ミーのスケジュールに死ぬ予定なんてありませんのでー」


あーつれねーの。
殺すわけないじゃん…………って、は??
今、王子“殺すわけない"とか思った?

あ"ー完全にコイツに思考、壊されてるわー…。

殺したくて堪らない筈…なのに、もうそんな風に感じない…。
どーいうこと?


「…あぁ、そっか…」

「は…?」


ベルの心の内の問いに納得がついて、つい声に出してしまった。
フランは訝しげにベルを見ている。


「…つまり」

「?」


ベルはフランに近付き、フランのカエル部分を掴む。そして、それをガバッと取る。


「痛っ!急に何するんですかっ!取るなら取るで、もう少し優しく…っ」

「黙れ」


ベルはカエルの被り物をポイッと放り投げ、フランの顎に指をかけグイッと上向かせる。


「っ!?な、にを…っ」


ベルはフランの唇に自分のそれを重ねる。当然、フランは訳が分からず瞳を開いたまんま。


「…んっ、んぅ…っ!」


フランの口から甘い声が漏れる。
ベルはそれから、数十秒くらいフランを味わって、唇を離す。

フランは唇を手の甲で押さえ、「いきなり、何するんですかっ!」と、当然の声。

―語尾が伸びてねーっつーことはかなり驚いたんだな。


「王子の気持ち」

「な…!?」

「だから、お前は王子のモンだっつーこと」

「!!?何勝手抜かしてんですかーっ!!」


フランの顔は真っ赤で林檎みてぇ。


「ししっ、超可愛ーんだけど、フラン♪」


そう言って、ギュッと抱き締めてやれば、フランはオレの背に腕を回してくる。


「…こっ、今回だけですからっ!」

「語尾伸びてねーよ?」

「…っ」

マジ可愛いわ、フラン。

「まぁ、王子のモンになっとけよ。損はねーぜ?」

「〜〜…分かりましたよーっ!」


ヤッベ、マジ可愛ーわ。
態度コロコロ変わったり、いつもポーカーフェイスのフランが表情崩したり…そうしてんのは、王子だけど。


「お前は一生、王子のモンな」

「…………はいー」


フランの答えが嬉しくて、更に抱き締める力を強くする。





―ホントはミーだってベルセンパイ、好きだったんですー。けど、素直になんてなれないから、憎まれ口ばっか叩いて…でも、センパイと同じ気持ちで嬉しかった…。
ベルセンパイ、ミーは一生ベルセンパイの傍にいますよー。






END
 

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