BL 短編

□離れて行かないで…
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「――…っ……ベル…この数年の間で変わってしまったんだね…」

マーモンがそう呟いた。

「…ずっとアイツがお前のこと想ってると思ったかぁ?」
「!……スクアーロ……」

マーモンはスクアーロの言葉に涙を溢した。

「……僕、自惚れてたのかな……ベルの気持ちは変わらないって…10年以上も付き合ってたのに…」
「――マーモン、お前がいなくなってから5年弱……簡単にベルが今の奴にいったと思うかぁ?」
「?」

マーモンは言っている意味がわからないという風に首を傾げた。

「ベルは今の奴と付き合う前は…ずっとお前を引きずってたんだぜぇ?」
「!」
「今の奴だって、ベルに酷いことされながら、言われながら、めげずに頑張った」

マーモンは下を俯いた。微かだがマーモンの身体は震えていた。

「――はははっ」

マーモンが急に笑いだした。
スクアーロは何だ? と思いつつ、マーモンの顔を覗き込んだ。先程流していた涙は止まっていた。
普段は見えない紫色の瞳が後悔と戸惑いの色を帯びていた。

「何それ……何でベルは他の人の所に行ってしまったの……?」
「………今の奴が自分のこと、本当に好きだっていうのを知ったから」
「……単純だね」
「ベルは元々もう誰かと付き合う気なんてサラサラ無かった筈だ。けど……そういう気にさせたのはフランだ」
「……フラン?……僕の後任だね。実力はどれ程?」
「かなり良いぜ」
「…………そうか」

マーモンは目を伏せた。
そして、スクアーロに抱きつき、その胸に顔を埋めた。

「う"ぉぉい、マーモン…」
「スクアーロ、暫くこのままでいさせて……」

マーモンはスクアーロの背中に腕を回した。
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