BL 短編
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「ホラ、言えないだろ?きっと…本気で突っかかってくるよ」
「何故…そんなこと…」
「もう目に見えてんだ…ベルはルッスーリアと仲が良かっただろ?けど…今は変態だと分かって、あまり近付かなくなった。…でも、スクアーロには?」
――近付いてくる。出会った時以上に。
「…君達、何年か後に付き合ってるんじゃない?」
「へ、変なこと言うな!」
「変なこと?分からないだろ?未来はどうなるか…なんてさ」
「…っ、もういい!オレは寝るぜ!明日早いからなっ!てめぇの寝床はあっち!」
スクアーロはソファーを指差した。
「…まぁ、怒らないでよ。ベルを甘く見ちゃいけないよ。可愛いカオして、するコトすごそうだしさ」
「!!」
「じゃあ、おやすみ」
マーモンは終わりを告げ、ソファーへジャンプした。
スクアーロはチッと舌打ちしてベッドに入る。横にはベルがスヤスヤと寝息を立てて眠っていた。
(――チッ、マーモンの奴…変なこと言うから眠れねぇじゃねぇか!!)
ベルをチラリと見る。
無邪気な…こんな顔して眠っていると、とても実の兄弟を殺したとは思えない。
色々考えている内に、いつの間にか眠りに落ちた。
「…これから、始まる…のか」
マーモン一人が起きていた。
「どうか二人に良い夢を――…」
と、呟き眠りに入った。
――――
『ベル…何故…………?』
ベルは夢を視ていた。
か細い声で呟く誰かの声。
『な…………ぜ?』
同じ言葉を何度もリピートする。
『どうし……て?こ……ろし…』
だんだん言葉を発している者の顔が見えてくる。
ベルは怯える。
声が…出ない。
これは一体ナニ?
ナニが起こるの?
この顔…声…何処かで……――。
『どうして殺したの!!』
いきなり怒声を上げた。
…正体…は。
「うわぁぁ!!」
いきなり目の前の人物が襲いかかってくる。
ベルは一目散に逃げる。
振り向くと、まだ追ってくる。
「うわぁっ!助けてッ」
早く…早く!!捕まる!捕まりたくない…嫌だ。まだ嫌だ…!!
「ベル!!!」
ベルはビクッとして目を覚ます。隠れた瞳に映ったのは、心配顔のスクアーロ。
「ひどく魘されていたぞ。汗も凄いしよ…悪夢でも視たか?」
「ス…クアー…ロ?」
スクアーロを見て安心した瞬間、頬に生暖かいモノを感じた。それが“涙"だと気付いたのはスクアーロが服の袖で拭ってくれたから。
「あ…ごめ…っ」
拭った時見えたベルの綺麗な赤い瞳からまた零れる涙。止まるどころかとめどなく溢れる涙。
スクアーロはこの時どうしていいのか分からなかった。涙を拭ってあげる以外何をすればいいのか見当もつかなかった。
目の前のベルは嗚咽を押さえながら、肩を上下して泣いている。
「……っ……く……っ」
「………………」
ソファーで眠っていたマーモンは気配には凄く敏感で、スクアーロが叫ぶ前、ベルの苦しそうな声で既に起きていた。
そして、スクアーロがどうベルを慰めるのかを見ていた。
(…ったく。こういう時、スクアーロは不器用だからね)
ソファーから降りて、スクアーロ達がいるベッドに飛び乗る。