戦慄遊戯曲
□ミリオンヴァーサス連載‐居候編
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ヴォル
「まったく君はお転婆だね」
背後から聴き馴れた声がし振り向けば、漆黒の髪に深緑の瞳の男が一人。笑いを含んだ声で言った。
「ヴォル…邪魔、しないで」
「はいはい」
睨むような瞳を彼に向ければ近くにある岩へと自身は登る。視線を手元の刀に戻し、再び走り出した。
その姿が見えなくなるまでヴォルは彼女を…
「相変わらず、一人で任務…か」
憂いにとむ瞳で見つめた。
只ひたすらに東へ進む。途中、敵を見つけては躊躇いなく切り倒してゆく。
砂漠地帯から草原へ。
―北西エニオ草原
変わらぬ此処にマロンは目を細めた。
「久しいな…」
そう呟き、ウェストポーチから紙を一枚取り出し確認をする。―今回の任務書だ。
イストニアへ侵入し機密書類を奪ってくること…だ。
「…ま、問題ないわね」
ライターを取り出し、その紙を燃やし街の方向へと走り出した。
街の西側は比較的、人口率が多い。ならば東側を迂回して目的地への侵入を試みるか…
。