BOOK 3
□プロローグ
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ガシャンッ!!
「うわぁぁぁ!!!痛いよおぉぉ!!」
「燐くん!!止めなさい!」
ガラスが割れる音。
泣く声。
先生の声。
聞こえない。
聞こえない。
俺は悪くない。
何もしていない。
俺は… “悪魔” なんかじゃない。
「う゛あああ!!!」
転がっていたイスをつかんで、投げた。
いや、投げ“そうになった”。
「燐くん!!ダメ!」
俺の右手を、“あいつ”が両手で止めていた。
「…美…零……」
俺が暴れたら、あいつが止める。
それの繰り返しだった。
美零は色々な人から好かれていて、優しい女子で、俺にも、普通に接してくれた。
そんな美零が俺の前から消えたのは、小学校に入る前のこと。
神父に連れられて、美零と雪男と一緒に行った夏祭り。
俺たちは、神父に内緒で、古い神社に行った。
言い出したのは俺だった。
後になって俺はひどく後悔した。
神社についた時、黒い塊が、俺たちを襲った。
「!?」
俺はただ、そこに立ち尽くすしかなかった。
その時に
“黄金色の炎”が暗闇の中に、灯った。
炎は、“美零”から出ていた。
それでも、黒い塊は消えることはなく、美零に襲いかかった。
「美零!!」
俺の意識は、そこで途絶えた。
意識が途絶える間際、美零の顔が見えた。
悲しそうな顔。
そして、
「ごめんね」と、唇が動いていた。